2010年12月30日木曜日

GPLとLGPLについて

OSS(オープンソースソフトウェア)のライセンス問題についてです。特に企業がGPLライセンスのライブラリをうっかり利用してしまうと大変なことになって、最悪訴訟に発展するケースもあります。

GPLを利用していて自覚的にその事実を隠蔽したのであれば地獄に落ちろって感じですが、知らずに無知ゆえに・・・というケースも多くあるように思えます。

そこで、タイトルにある2つのライセンスについて基本事項を確認しておきましょう。

 

研修は重要です

企業研修など担当して分かるのは、SEやPG候補の新入社員に文系出身が非常に多いということです。かく言う私も経済学部出身の文系・・・あれ文系?なのですが、基本的に文系出だとコンピュータリテラシーが不足している傾向が見られます。

比較的大きい企業の場合は、新入社員研修の段階で基本情報レベルの知識は叩き込みます。ある程度の研修期間があり変な講師でなければ、最低限のリテラシーは理解できるでしょう。問題はそのような基礎レベルの研修をしない企業の場合です。

OJT(On-the-Job Training)でどうにかなるとか考えているのか知りませんが、どうにもなりません。新人研修も出来ない企業が、OJTで部下にコンピュータリテラシーを教える暇があるとはとても思えません。

結果、OSS(オープンソースソフトウェア)とPDS(パブリックドメインソフトウェア)の違いも分からないまま開発業務に携わることになり、GPL違反を犯すということになるのです。

 

GPL違反の例

GPLの詳細については以下のリンク先で確認して欲しいのだけれど、簡単に説明するとGPLライセンスのソースコード・ライブラリを利用したプログラムを配布する場合は、そのプログラム自身もGPLライセンスに従う必要があります。つまり、GPLのソース利用したソフトは、ソースコード公開の義務が発生するのです。

GNU General Public License(Wikipedia)

 

PS2のゲームでこのGPL違反を犯した例があります。それが「ICO」(イコ)です。

この「ICO」を開発したグループがのちに「ワンダと巨像」を生み出すんですが、この「ICO」については海外の某ハッカーが解析したらGPLライブラリのlibarcが利用されていることが判明して、結果、生産終了で廃盤となってしまったのです。

実際に市場に出してしまったソフトなのだから、廃盤にしたところでソースコードの公開義務が消えるわけではないと思うのだけれど、GPLにもグレーゾーンがあって(特にICO発売の2001年時点のGPLはバージョン2なので)、それプラス誰も訴えなかったということでごまかしたんでしょうかね。

 

LGPLについて

GNU Lesser General Public License(Wikipedia)

GPLのソースは基本的に企業では利用できません。企業秘密であるはずのソースコードを完全公開させられるハメになりますからね。それに対し、LGPLのライブラリなら企業利用の可能性もありえます。

LGPLに従うライブラリを動的リンクする場合に限り、ソフトウェアのソースコード公開義務が発生しないためです。静的なリンクの場合はダメです。GPLと変らんことになります。

ただし、ソースコード公開義務はありませんが、著作権やライセンスの表示はせねばなりません。ドキュメントへの記載だけじゃなくて、ソフトウェアの実行時に著作権の表示がある場合は、ライブラリの著作権も合わせて表示せねばなりません。

 

おわりに

OSSは便利なライブラリも多いんですが、面倒な問題も抱えているので利用には慎重にならなければなりません。LGPLはGPLに比べると扱いやすいですが、それでも動的リンク限定であったり、著作権表記など面倒な部分もあります。かと言って、くれぐれも「バレなければいいや」と安易な行動に走らないように。